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観仏日々帖

古仏探訪~2017年・今年の観仏を振り返って〈その2〉 4月  【2017.12.10】


4月は、1~3月にあまり観仏に出かけなかった反動というわけではないのですが、結構精力的に観仏探訪に巡りました。

〈その2〉では、4~6月の観仏探訪のご紹介のつもりでしたが、4月のご紹介量が随分多くなってしまいましたので、今回は4月、単月分のみの観仏を振り返ることにさせていただきます。

ダラダラと長く、締りのないご紹介になりましたが、何卒ご辛抱を!


【4月】



【津市 光善寺・薬師如来の御開帳めざして、三重まで日帰り】


4月のトッパナは、三重県津市の光善寺薬師像の御開帳を目指して、日帰り観仏に出かけました。

観仏リスト①(津市光善寺他)

光善寺の薬師如来像は、かねてから一度は是非とも拝したいと念じていた平安古仏です。
毎年、4月の第一土曜にのみ御開帳となり、その他の時には拝することが出来ません。
津市の片田舎にあり、ちょいと不便で、ついつい行きそびれていたのです。

今年は4月1日、土曜日の御開帳ということで、意を決して、日帰りで出かけることにしたのでした。



【わざわざ出かけた甲斐のあった見事な仏像~期待以上の光善寺・薬師像】


薬師像は、期待どおり、いや期待以上の、素晴らしい出来の魅力的な一木彫像でした。

津市 光善寺・薬師如来像

津市 光善寺・薬師如来像
津市 光善寺・薬師如来像

一言でいうと、
「どっしりとボリューム感たっぷり、バランス感とまとまりの良いハイレベルの像」
というのが、この像の印象です。
「10世紀の半ば頃までの制作かな?」
という感じがしました。

この光善寺・薬師如来像の観仏記は、
「古仏探訪~三重県津市・光善寺の薬師三尊像の御開帳」
に詳しくご紹介しましたので、ご覧ください。

光善寺の薬師如来像となっていますが、実際には、お寺ではなくて地区の人々によって管理されており、小高い坂の上にある収蔵庫の中に、大切に守られていました。

光善寺・薬師如来像が祀られる収蔵庫
光善寺・薬師如来像が祀られる収蔵庫

ひっそりとした御開帳でしたが、お世話をされている村落の方々の温もりが、そのまま伝わってくるようなほのぼのしたものでした。
思い切って三重まで日帰り観仏に来た甲斐のある、魅力ある見事な仏像に出会うことが出来ました。



【ついでに、津市の大長寺、勝久寺の重文仏像を訪ねる】


折角、津市まで出かけましたので、市内にある、未見の二つのお寺、大長寺と勝久寺の仏像を訪ねました。

河辺町の大長寺には、
藤末鎌初頃かと思われる、地蔵菩薩の踏み下げ像が、無住のお堂に地区管理で祀られていました。

津市 大長寺・本堂
津市 大長寺・本堂

津市 大長寺・地蔵菩薩像が祀られる堂内

津市 大長寺・地蔵菩薩像
津市 大長寺・本堂内と地蔵菩薩像


一身田上津部田の勝久寺では、
平安後期の阿弥陀如来像、聖観音像、地蔵菩薩像を拝しました。

津市 勝久寺・本堂
津市 勝久寺・本堂

いずれの仏像も、いかにも藤原の終わりごろといった優しく穏やかな雰囲気の満ち満ちた古仏でした。

どちらのお寺でも、
「この仏像のことを、どうして知ったのか? 何故、わざわざ訪ねてきたのか?」
と尋ねられました。

重要文化財の仏像ですが、観仏探訪に訪れる人は、あまりいないようです。


ついでに、ちょっと時間があったので、津市内の石水博物館を覗いてきました。

石水博物館
石水博物館

石水博物館というのは、当地の豪商・川喜田家16代、百五銀行の頭取であったとともに数寄者、陶芸家でもあった川喜田半泥子の作品を、元私邸の地に展示する博物館でです。
「川喜田半泥子の遊び心」という企画展が催されていました。

石水博物館「川喜田半泥子の遊び心」ポスター

半泥子の作陶は、奔放な雅趣があり、確かな美の感性を感じさせて、私は結構好きなのです。
有名な伊賀水差「欲袋」も展示されており、眼福となりました。

川喜田半泥子作 伊賀水差「欲袋」
川喜田半泥子作~伊賀水差「欲袋」"



中旬には、大阪市立美術館開催の「木×仏像展」、奈良国立博物館開催の「快慶展」を観るべく関西まで2泊3日で出かけました。


【充実の大阪市美「木×仏像展」~未見、注目の仏像が目白押し】


初日は、大阪市立美術館開催「木×仏像展」。

「仏像の素材のなかの『木』に注目し、木彫像の樹種や、木材の用いられ方などをテーマに、樹木と仏像との関わり、霊験性などについて考え、深い理解を目指す」

という展覧会で、私が、もっとも関心の強いテーマの特別展です。

大阪市立美術館「木×仏像展」ポスター

これぞ絶対必見と、勢い込んで出かけたのでありました。

飛鳥から江戸時代移にいたるまでの木彫仏、約70体が展示されていました。
唐招提寺・伝獅子吼像、東大寺・試みの大仏像といった有名処も展示されていましたが、、普段は、余り眼にすることのないなかなかの興味深い木彫像ぞろいでした。
期待通りの充実した展覧会でした。
大阪府の古仏像が数多く出展され、じっくり観ることが出来たのも大きな収穫でした。

此処で、いちいちご紹介する余裕はありませんが、特に私の眼を惹いたのは、ご覧のような仏像でした。

観仏リスト②(木×仏像展)



【圧倒的な存在感で来場者の眼を惹き付ける、宮古区・薬師如来像】


宮古区薬師堂の薬師如来像は、圧倒的な存在感で、会場の人々の眼を惹き付けていました。

宮古区薬師堂・薬師如来像
宮古区薬師堂・薬師如来像

奈良様の雰囲気を留め、乾漆造の造形表現を思わせますが、はち切れんばかりのボリューム感、重量感は、迫力満点で平安前期一木彫像そのものです。
内刳りは全くなく、カヤかと思われる良質の緻密な針葉樹材で造られています。
ものすごく重たいそうです。

これだけの、見事な一木彫像なのですが、現実には、ほとんど知られていないのではないかと思います。
この薬師像は、天理市田原本町宮古区という集落にあり、みすぼらしいと云ってもよい集会所兼用の薬師堂に祀られています。

薬師像が祀られる宮古区・集会所兼用の薬師堂
薬師像が祀られる宮古区・集会所兼用の薬師堂

はじめて、宮古の集落を訪ねて、地区の方にご案内いただいた時、その迫力、存在感に驚いて、

「どうして、こんなに凄い仏像が、集会所の片隅のようなところに祀られているのだろう!」

と、本当にビックリするとともに、

「こんなところに祀られていて、防犯など大丈夫なのだろうか?」

ちょっと心配になりました。

宮古区薬師堂・薬師如来像

宮古区薬師堂・薬師如来像
堂内に祀られる宮古区薬師堂・薬師如来像

図録解説によると、
「今も篤い信仰心で本像を守り続ける地域の人々の理解と協力を得て、このたび展覧会への初出陳がかなった。」
そうです。

もっともっと、知られるべき仏像だと思います。



【大阪府の注目古仏が数多く展示~めったにない機会】


大阪府の仏像というのは、展覧会に展示される機会も少なく、意外に知られていないのですが、今回の展覧会には、注目の大阪府内の平安古仏が数多く展示されていました。
めったにない機会であったのではと思います。
なかでも、私の眼を惹いたのは、次のような像でしょうか。

長円寺(大阪府羽曳野市)の十一面観音像は、ずんぐり小太りの体躯が可愛い、檀像風一木彫です。

長円寺(大阪府羽曳野市)・十一面観音像
長円寺(大阪府羽曳野市)・十一面観音像

孝恩寺(貝塚市木積)からは、仏像群中、虚空蔵菩薩像が出展されていましたが、その異貌、発散する霊威感あるオーラは、周囲を圧するものがありました。

孝恩寺(貝塚市木積)・虚空蔵菩薩像
孝恩寺(貝塚市木積)・虚空蔵菩薩像

三津寺(大阪市南区)の古仏像群は、近年注目され、2015年に市指定文化財となりましたが、その中の最優作、地蔵菩薩像が出展されていました。
きりりと鼻筋が通った凛とした姿が印象的で、惹かれるものがあります。
10世紀の制作とみられるそうですが、なかなか出来の良い興味深い一木彫像でした。

三津寺(大阪市南区)・地蔵菩薩像
三津寺(大阪市南区)・地蔵菩薩像

こうして、注目像をご紹介していくとキリがありませんので、このくらいにしておきたいと思います。



【河内長野・河合寺の二天像の見事さにビックリ!
~どうしてあまり採り上げられなくなったのでしょうか?】


最後に、一つだけ、私が想定外にビックリした、「河合寺の持国天・多門天像」をご紹介します。

河合寺は、河内長野市にあるお寺です。
「河合寺の持国天・多門天像」と云われても、全く知らないという方のほうが、多いのではないでしょうか?
私も、同様でした。
重要文化財に指定されているのですが、「仏像集成・全8巻」(学生社刊・1989~)にも、この仏像は、掲載もされていないのです。

私が、この二天像の存在を知ったのは、明治43年に刊行された「特別保護建造物及国宝帖」に、藤原時代の代表作例として掲載されていたからです。

明治43年刊行「特別保護建造物及国宝帖」に掲載されている河合寺・多門天像の写真
明治43年刊行「特別保護建造物及国宝帖」に掲載されている河合寺・多門天像の写真

「特別保護建造物及国宝帖」という本は、ロンドンで開催された「日英博覧会」に出品するために、明治末年に編纂された、官製日本美術史の大著です。
この本には藤原時代(平安後期)の仏像が25件掲載されていますが、そのうちの1件が「河合寺の多門天像」なのです。
明治末年頃には、平安後期の代表作例としてわざわざ採り上げるほどの仏像であったらしいのです。
明治32年(1899)には、早くも旧国宝の指定を受けています。

ところが、近年は、採り上げられることなど無い、知られざる天部像となっていると思います。

「現代の眼で見ると大した作品でもない像が、明治期には、未だ見る眼が未熟で代表作例とみられていたのかな?」

そんな想像をしつつ、一度は自分の眼で、確かめてみたいと思っていたのでした。

この河合寺の持国天・多門天像が出展されていたのです。

河合寺(河内長野市)・多門天像
河合寺(河内長野市)・多門天像

眼前に観てみて、ちょっとビックリです。
大変、立派な像なのです。
平安後期の四天王像としては、体躯の動きや衣の翻りに躍動感があり、造形力には秀でたものを感じます。
鎧の毘沙門亀甲の文様の彫りなども緻密で力強いものです。

河合寺・多門天像の体部の造形と見事な毘沙門亀甲文様

河合寺・多門天像背部の見事な毘沙門亀甲文様
河合寺・多門天像、体部と背部の見事な毘沙門亀甲文様"


「これは、一目も二目も置くべき、なかなかの秀作だ!」

と、目を瞠りました。

図録の解説には、このように述べられています。

「同寺に伝来した仏像の中でもひときわ都ぶりを示す作で、現存作例の少ない平安時代後期の神将形天部像にあって、京都・浄瑠璃寺の国宝四天王像とならぶ名作である。
・・・・・・・・
なお、多間天像は、昭和26年(1951)秋、講和会議と平和条約調印を記念して米国サンフランシスコ市のデ・ヤング記念美術館で開催された『講和記念桑港(サンフランシスコ)日本古美術展覧会』に、日本を代表する彫刻作品のひとつとして出品されている。
同展は文化財保護委員会(現在の文化庁)主催による日本古美術の海外展の嚆矢であった。」

「なるほど!」   と、納得しました。

これだけの評価の仏像が、昔は著名で、近年ではあまり取り上げられることもなく、知られていないというのは不思議なことです。
これまで、ずーと抱いていた疑問、

「明治の『特別保護建造物及国宝帖』に、この像が、どうして藤原時代の代表作例として掲載されているのか?」

が、ちょっと解消した気分でした。


新たな発見、新たな驚きで、満足感一杯の「木×仏像展」でした。
後ろ髪をひかれつつ、大阪市立美術館を後にしました。


この日は、大阪なんばの「日本工芸館」に寄って、小石原焼、子鹿田焼などの民芸を観て、その後は、昔の職場の多くの仲間と飲み会。
騒いで飲んだくれて、ホテルでバタンキュー。

日本工芸館
日本工芸館



【やっと拝観が叶った、念願の堺市 太平寺・地蔵像】


翌日、訪れたのは、堺市の太平寺です。

観仏リスト③(太平寺)

太平寺には、不思議な平安古仏の地蔵像、阿弥陀三尊像があるのです。



【芸術新潮・特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」に、採り上げ~「ものを言う衣文」で】


大阪堺市の太平寺・地蔵菩薩像と云われて、ピンとくる方は、異端、異形の仏像に相当にマニアックな方でしょう。
この仏像、芸術新潮1991年1月号の特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」に採り上げられていたのを覚えていらっしゃるでしょうか?

「こんな仏像もあったのか!」

と銘打って、異様なオーラを発散するような異形仏が、いくつも紹介されました。
そのなかで

「ものを言う衣文」

と題して紹介されているのが、堺市・太平寺の地蔵菩薩像です。

芸術新潮・特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」掲載の太平寺・地蔵菩薩像の迫力ある写真

芸術新潮・特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」掲載の太平寺・地蔵菩薩像の迫力ある写真

芸術新潮・特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」掲載の太平寺・地蔵菩薩像の迫力ある写真
芸術新潮・特集「出現!謎の仏像~美術史の革命」掲載の
太平寺・地蔵菩薩像の迫力ある写真


写真で見ると、強烈なオーラを発散しているようで、まさに興味津々です。

この芸術新潮特集号は、井上正氏が異形仏、霊木化現仏であると考える仏像を、謎の仏像として梅原猛氏とのコラボで採り上げたものです。

是非とも一度拝したいものと、何年も前から、何度か太平寺さんに拝観御依頼のご連絡を試みたのですが、なかなかご連絡が取れず、またご都合、ご事情が許さなかったりして、拝観が叶わなかったのです。
その太平寺さんに、やっとのことで拝観のご了解をいただけたのでした。

当日は同好の方をお誘いして、3人で出かけました。

太平寺のある住所は、「堺市西区太平寺」ということで、かつて、このお寺が地域の中心であったことが伺われるのですが、今では、ひっそりとこじんまりしたお堂だけが残されたお寺でした。

堺市 太平寺・本堂
堺市 太平寺・本堂

めざす地蔵菩薩像は、薄暗いお堂の隅に祀られていました。

諸仏が祀られる大平寺の本堂内
諸仏が祀られる大平寺の本堂内

芸術新潮には、
「全身をびっしりと抽象的な衣文で覆われている。
これもまた、肉体を覆うというよりも、仏の精神を感じさせる衣文であろう。
特に、背面の、水の流れのようにうねる線が美しい」
と書かれています。

まさにそのとおりで、衣文は、比較的浅い彫りで規則的な線で表されつつ「うねくる」という感じです。

大平寺(堺市)・地蔵菩薩像

大平寺(堺市)・地蔵菩薩像

大平寺(堺市)・地蔵菩薩像
大平寺(堺市)・地蔵菩薩像

ただ、もっともっと強烈な霊気というか、発散するオーラを感じるのかと想像していた処、それほどまでのインパクトを感じはしませんでした。

「厳しい表現ではあるものの、ちょっと定型的になって大人しい。」

というのが率直な印象でした。
井上正氏は、8世紀の制作に遡るのではと述べられていますが、私の素人目には、やや形式的な表現の感じで、

「ウーン! 10世紀以降の制作じゃないのかしらん?」

そんな気がしてしまいました。



【これまた古様な注目古仏では?~本尊・阿弥陀三尊像】


むしろ古様さに注目したのは、御本尊の阿弥陀三尊像でした。

大平寺(堺市)・阿弥陀三尊像
大平寺(堺市)・阿弥陀三尊像

こちらの方が、地蔵像よりもかなり古い感じです。
中尊・阿弥陀像は、「眼のない仏像」です。
井上氏流には、「霊木化現の一様相」という仏像で、興味深い彫像です。

大平寺・阿弥陀如来像顔部~眼の無い仏像
大平寺・阿弥陀如来像顔部~眼の無い仏像


眼を惹くのは、左脇侍(向かって右)です。

大平寺・阿弥陀如来像左脇侍(向かって右)菩薩像
大平寺・阿弥陀如来像左脇侍(向かって右)菩薩像

奈良様の雰囲気を色濃く残していて、中尊よりもいっそう古い制作のようです。



【井上正氏著作・採上げの異形仏72件~完全観仏踏破に挑戦中、あと一息】


ご存じのとおり、井上正氏は、行基ゆかりの古密教仏、霊木化現仏であると考える諸仏について、その著作
「古佛~彫像のイコノロジー」「続古佛~古密教仏巡歴」 (共に法蔵館刊)
にラインアップされています。

この本に採り上げられている諸仏は、お世辞にも出来が良いとは言えないのですが、アクが強く異様なオーラで迫ってくる、強烈なインパクトの一木彫像ばかりなのです。
井上氏は、これらの仏像のほとんどが奈良時代の制作に遡ると主張されています。
私は、決してそうは思わないのですが、極めて、心惹かれる興味津々の仏像ぞろいなのです。

これまでも何度かご紹介しましたが、私は、この2冊の本に採り上げられている異形仏、全ての像の観仏踏破に。チャレンジ中です。
2冊の本には、72件の古仏が採り上げられていますが、太平寺・地蔵像もその一つです。
今回、太平寺。地蔵像を拝し得て、ついに「あと2件」に迫りました。

残りは、
愛知・高田寺の薬師如来像、福井・二上観音堂の十一面観音像
です。
共に、普段は拝し得ない秘仏で、御開帳タイミング狙いしかありません。

いつ、チャレンジ成就することやら・・・・・・???



この日の午後は、京都へ移動。



【想定外の興味深い仏像に、沢山出会った京博の仏像展示
~高山寺、神護寺の薬師如来坐像に、久々のご対面】


京都国立博物館で「海北友松展」。

京都国立博物館「海北友松展」ポスター

特別展主催者の意気込みの凄さが、直に伝わってくるような、充実した展覧会でした。
描かれた「線の強さ、厳しさ」に凄みを感じましたし、圧倒的な気迫や静かな緊張感を感じさせるものがありました。

「海北友松展」を目当てに出かけたので、仏像については全く頭になかったのですが、特別展の隅で、小さくなっている「平常陳列の仏像」をのぞいてみると、

「これまた、ビックリ!」

私にとっては、興味深い仏像が、想定外に沢山並んでいたのでした。
ご覧のとおりです。

観仏リスト④(京博仏像展示)

一番の注目仏像だったのは、二つの木心乾漆像でした。
高山寺と神護寺の薬師如来坐像です。

高山寺・薬師如来像
高山寺・薬師如来像

神護寺・薬師如来坐像
神護寺・薬師如来坐像

本当に、久しぶりに見ることが出来ました。
2躯共、京博に寄託されており、たまには展示されてるはずなのですが、私には永らくのご無沙汰で、嬉しくなってしまいました。
共に天平末~平安初の木心乾漆像なのですが、意外に広くは、知られていないのではないかと思います。
とりわけ、神護寺の薬師如来坐像は、アク、クセの強い個性的な表現の迫力に、惹かれるものがあります。

観仏日々帖、
「トピックス~想定外の興味深い仏像に沢山出会った京博の仏像展示」
にて、紹介させていただいておりますのでご覧ください。


この後は、祇園の「何必館」へ寄り道。
ブレッソンの写真展を観て、一息。

何必館「ブレッソン展」ポスター
何必館「ブレッソン展」ポスター

夜は、知人と落ち合って河原町通三条下ルの割烹「日吉野」で一杯。

河原町通三条下ル・割烹「日吉野」
河原町通三条下ル・割烹「日吉野」

「日吉野」は、京都の地元の人しか行かない美味なる店という話を聞いて、今回初めて体験。
年配の親父さんが仕切る、気さくなカウンターのお店。
刺身の活きの良さが飛び切りでビックリ!
お薦めの鯛とサヨリの刺身が絶品でした。
決して安くはありませんでしたが、地元の人で満席、賑わっていました。



翌日は、奈良へ。
目指すは、奈良国立博物館の「快慶展」です。



【興福寺「天平乾漆群像展」で、疑似体験~天平 西金堂・釈迦集会像】


その前に、興福寺仮講堂で、特別公開されていた「天平乾漆群像展」に行きました。

興福寺仮講堂「天平乾漆群像展」安置風景
興福寺仮講堂「天平乾漆群像展」安置風景

この特別公開は、江戸時代に焼失した興福寺・西金堂に祀られていた諸仏像を、仮講堂の一堂に集めて、焼失前の安置を再現する形にして展示するというものです。
阿修羅像をはじめとする八部衆、十大弟子像、華原磬の他、鎌倉期の天燈鬼、龍燈鬼、金剛力士像などなどが展示されていました。

天平当初の釈迦集会像の姿を再現するということでしたが、西金堂の向かって一番左奥に安置されていた筈の阿修羅像は、やはりスター中のスター、一番前方のど真ん中に安置されていました。



【空前絶後、圧巻の奈良博「快慶展」
~これだけの快慶作品を一堂に観るのはもう無理か?】


奈良博の快慶展は、午前と午後、2回観に行きました。

京都国立博物館「快慶展」ポスター

この日は、天平会の例会が、奈良文化会館で杉崎貴文先生の「快慶講演会」を聞いてから展覧会へという「快慶展鑑賞」企画で、これに乗っかることにしました。
午前は、まず快慶展を一人で観て、講演会で勉強してから、もう一度復習に、天平会の皆さんと快慶展に出かけました。
通算で、4時間以上「快慶展」を観ていたこととなり、少々お疲れモードになってしました。

快慶展出展仏像についてのご紹介は、今更ながらなので、省略させていただきます。

それにしても、圧倒的な規模の「快慶展」でした。
空前絶後と云っても良いのではないでしょうか。
これだけの快慶作品が一堂に集められた展覧会というのは、これまでもありませんでしたし、これからも当分の間は望みえないのではと思いました。

実の処、私は、快慶の仏像は少々苦手で、快慶を代表すると云われる三尺阿弥陀像などは、
「どれを観ても、皆、同じ。」
ように見えてしまいます。

衣の形式などなどで、制作時期を見分けることが出来るようですが・・・・・
なかなか、強く惹かれるというまでは行きません、。

そうはいってもという処で、私が、この展覧会で観るのが初めてで、素晴らしい像だと感じた快慶仏は、

遣迎院・阿弥陀如来立像、八葉蓮華寺・阿弥陀如来立像、キンベル美術館・釈迦如来立像、
光林寺・阿弥陀如来立像、西方寺・阿弥陀如来立像

などでした。

なかでも、遣迎院・阿弥陀如来立像、キンベル美術館・釈迦如来立像は、如何にも快慶らしい造形もさることながら、細密美麗な截金文様には驚かされました。

遣迎院・阿弥陀如来像~「快慶展」ポスター
遣迎院・阿弥陀如来像~「快慶展」ポスター

キンベル美術館蔵・釈迦如来像~「快慶展」ポスター
キンベル美術館蔵・釈迦如来像~「快慶展」ポスター



【劇的発見物語の新薬師寺「香薬師像の右手」を眼近に~奈良博・仏像館展示】


この日、なら仏像館の方には、長らく行方不明になっており、昨年(2016)、発見が報じられた、新薬師寺・香薬師像の右手が、展示されていました。

発見された香薬師像の右手先
発見された香薬師像の右手先

昭和18年(1942)の香薬師像盗難の時、共に失われたと思われていた右手先が、昨年(2016)、劇的に発見され新薬師寺に返還された話はご存じのことと思います。
その「香薬師像の右手」が、展示されていたのです。
ほんの小さな手先でしたが、失われた香薬師像の姿を思い起こさせるような、白鳳の手先でした。

新薬師寺・香薬師像
新薬師寺・香薬師像

香薬師像の右手が発見に至ったいきさつ、ドキュメントについては、
「観仏日々帖:新刊案内~「香薬師像の右手~失われたみほとけの行方」貴田正子著
を、ご覧ください。



【恒例の東博「新指定 国宝・重要文化財展」へ
~新国宝の法華寺・維摩居士像がパネル展示は誠に残念!】


4月の最終週は、毎年恒例で東京国立博物館で開催される「新指定 国宝・重要文化財展」です。

観仏リスト⑤(新指定国宝重文展)

平成29年度の国宝・重要文化財、仏像の新指定の目玉は、新たに国宝に指定された、
深大寺・釈迦如来倚像(白鳳)、金剛寺・大日、不動、降三世三尊像(平安~鎌倉)、
法華寺・維摩居士像(奈良)
でしょう。

このうち、東博展示となったのは、深大寺・釈迦如来倚像だけであったのは、ちょっと残念でした。

新国宝~深大寺・釈迦如来倚像
新国宝~深大寺・釈迦如来倚像

法華寺・維摩居士像が出展されなかったのは、誠に残念。

新国宝~法華寺・維摩居士像
新国宝~法華寺・維摩居士像

法華寺では、本堂入り口の傍の格子戸のなかに目立たず祀られており、はっきりと拝することが出来ません。
今回の展示で、眼近に観ることが出来るのではないかと期待していたのですが、出展が叶わず、パネル展示となってしまいました。


以上が、4月、一か月の観仏探訪のご紹介でした。


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