観仏日々帖

古仏探訪~今年の観仏を振り返って 〈その2〉 【2014.12.27】


〈その1〉に引き続き、
2014年後半戦、7~12月の古仏探訪を振り返ってみたいと思います。


【7月】

7~8月は、真夏は熱射病にもなってしまいそうなので苦手。
なるべく大人しくして、観仏探訪には、殆ど出かけませんでした。

7月、唯一訪れたのが、世田谷観音寺です。

世田谷観音寺

世田谷観音寺には、内山永久寺伝来の康円作・不動明王像、八大童子像が祀られています。
東急田園都市線の三軒茶屋駅から歩いて行けるところに在り、我が家からは30~40分で行けるのですが、何故かこれまで拝したことが無かったのです。

毎月28日がご開帳日で、朝日カルチャーセンターの臨地講座(講師:真田尊光氏)が企画されていましたので、良い機会と申し込んで行ってきました。

世田谷観音寺・不動明王八大童子像が祀られるお堂
世田谷観音寺・不動明王八大童子像が祀られるお堂

世田谷観音寺・不動明王八大童子像~康円作(重文・鎌倉)
世田谷観音寺・不動明王八大童子像が祀られるお堂

世田谷観音寺は、事業家の大田睦賢氏が私財を投じて昭和26年(1951年)に創建し,住職となった天台宗のお寺です。
祀られている不動明王・八大童子像は、奈良・石上神宮の神宮寺・内山永久寺に伝えられた仏像です。
内山永久寺は、明治の廃仏毀釈の時に、徹底的に破壊され廃寺になりました。
多くの仏像が破壊されたり散逸したりしましたが、この仏様もその一つです。

この像が、世田谷観音寺に祀られるまでの来歴をたどると、
内山村庄屋・中山平八郎→藤田伝三郎→久原房之介→中野忠太郎→大田睦賢
と相承されているようです。

昭和29年、芸苑巡礼社刊「大聖不動明王尊像并聖八大童子像」に、そのように記されています。
明治以来、所蔵者が転々とし、やっと今の世田谷観音寺に安住の地を得たのでしょうか。

真田尊光氏の解説で、眼近に拝することが出来ました。
藪蚊の猛烈な攻撃に会い、あちこち刺されてかゆみに耐えながらの探訪となりました。



【8月】

8月は、学生時代の同窓会が奈良でありました。
奈良まで出かけたのですが、宴会専一で、お寺には何処も寄らずに帰ってきました。
もったいない限りです。

唯一、奈良国立博物館で開催中の「醍醐寺のすべて展」に寄ってきました。

醍醐寺の全て展ポスター
醍醐寺の大規模な展覧会は、これまで何度か開催されていますし、仏像については醍醐寺の霊宝館に行けば、殆ど観ることが出来ます。
大注目の展覧会、というほどではなかったのですが、今回の大目玉は、上醍醐・五大堂の五大明王像(重要文化財)が出展されたことでした。

この像は、普段拝することはできません。
五大明王像のうち、大威徳明王像以外の4躯は、後世の江戸時代制作像ですが、大威徳明王像は、平安時代の制作で、延喜13年(913) に完成した創建五大堂の五大明王像の遺像であったと見られています。

10世紀初の大威徳明王像ということで、期待に胸ふくらませて拝しましたが、仏像彫刻の出来としては、それほどに惹かれるものではなかったというのが、正直な感想です。

上醍醐五大堂・大威徳明王像(重文・平安)
上醍醐五大堂・大威徳明王像(重文・平安)

やはり大いなる存在感と、強く惹かれるものを感じたのは、上醍醐本尊・薬師三尊像快慶作・弥勒菩薩坐像でした。

醍醐寺・快慶作弥勒菩薩坐像(重文)
醍醐寺・快慶作弥勒菩薩坐像(重文)

快慶作・弥勒菩薩坐像は、三宝院の本堂(護摩堂)に祀られて、拝観はお堂の入口からです。
距離があり薄暗いので、その姿をはっきり拝することが難しいのですが、明るい照明のもとで眼近に拝することが出来ました。
その出来の良さ、素晴らしさに、今更ながらに感動してしまいました。


翌日は、同窓会メンバーと共に、京都島原の「角屋」「輪違屋」の夏の文化財特別公開に立ち寄り、京の花街文化の名残を愉しんできました。
以前に読んだ、浅田次郎の小説「輪違屋糸里」のことを、思い出してしまいました。

京都・島原~輪違屋
京都・島原~輪違屋

9月は、諸々の予定や、海外旅行などに追われて忙しく、観仏探訪に出かける余裕なしという処でした。



【10月】

御法に守られし醍醐寺展ポスター
渋谷の松濤美術館で開催された「御法に守られし醍醐寺展」に行きました。
松濤美術館で「醍醐寺展」というのは、ちょっとフィーリングが合わないのですが、しばらく閉館中だったリニューアル記念展ということでの開催でした。

小規模な展覧会でしたが、奈良博開催の「醍醐寺のすべて展」では出展されなかった、国宝・過去現在絵因果経(奈良時代・8C)や重文・不動明王像(平安時代・10C)が出展されたのが、注目でした。

重文・不動明王像は、元中院安置とされる五大明王像の中尊です。

この五大明王像は、昭和32年(1957)に三宝院の土蔵内から見出されましたが、関係資料から元中院安置の像であることが判明し、中院を建立した聖宝の弟子・観賢の没年である延長3年(925)までに造立されたとみられています。

醍醐寺元中院安置・不動明王坐像(重文・平安)
醍醐寺元中院安置・不動明王坐像(重文・平安)

普段は醍醐寺・霊宝館に展示されているのですが、それほどに注目してみたことがありませんでした。
今回の展覧会で、じっくり観ると、なかなかのボリューム感と力感がある像で、その特異な顔貌と相まって、結構魅力あふれる像であることに気がつきました。

奈良博出展の五大堂・大威徳像と比べると、近い時期の制作ですが、こちらの像の方が強く惹き付けられるものを感じました。


中旬には、
関西で伝統を誇る仏像鑑賞愛好会の「天平会」が、800回例会を迎えられるということで、記念例会に参加してきました。

この「天平会」、何しろ昭和18年(1943)に結成されているというのですから、老舗中の老舗といってよい名門鑑賞会です。
これまで、望月信成氏、毛利久氏、宇野茂樹氏を主軸として、名だたる先生方が講師を務められていたそうです。
私は、名前だけの会員という感じで、年に一度も例会(鑑賞会)に参加したことが無いのですが、800回のお祝いということなので、関東の同好の方々数人と参加させてもらいました。

高梨純次氏、杉崎貴英氏ほかの講演のほか、和気あいあいの懇親会で愉しく盛り上がり、さすがに伝統を誇る会の重みを感じた次第です。

関東在住は、古仏愛好者にとっては、結構ハンデキャップだなと、当たり前のことを改めて実感させられました。


折角、関西まで出かけることになったので、大阪府内の古仏探訪を企画し、同好の方々と巡ってきました。

前夜の懇親会、大阪ミナミ黒門町での二次会で、二日酔い気味での観仏となりましたが、探訪先は、ご覧のとおりです。

大阪府観仏探訪先

海岸寺の菩薩像・十一面観音像は、朽ちた破損仏のような平安古仏で興味があったのですが、〈その1〉2月の霊松寺(釈恩寺)観音像の処でご紹介したのと同様に、見間違えるような大幅な手が加えられた復元修復がされていました。
当初の造形が伺いようもなく、残念至極でした。

堺市・海岸寺~菩薩立像(平安)・修復前の姿...堺市・海岸寺~菩薩立像(平安)・復元修復後の姿
堺市・海岸寺~菩薩立像(平安)   (左)修復前の姿  (右)復元修復後の姿

長円寺・十一面観音立像(重文)は、像高45センチの檀像風の平安前期仏ですが、丸々して張りのある大変良く出来た素木像で、なかなかの魅力でした。

羽曳野市・長円寺~十一面観音立像(重文・平安前期)
羽曳野市・長円寺~十一面観音立像(重文・平安前期)

2007年に栃木県立博物館で開催された「円仁とその名宝展」に出展された以外は、近年博物館等に出展されたことはないそうです。
「円仁とその名宝展」の時に、観ている筈なのですが、あまり記憶がなく、今回の観仏が新鮮な感動でした。


正傳寺・薬師如来立像(市指定)も、大変興味深い仏像でした。
土の匂いのする、野趣にあふれた力強い平安古仏に、想定外に出会うことが出来たというのが、率直な感想です。

四条畷市・正傳寺~薬師如来立像(市指定・平安中期)
四条畷市・正傳寺~薬師如来立像(市指定・平安中期)

この仏像については、観仏日々帖「古仏探訪~大阪四条畷市・正傳寺の薬師如来立像」で、紹介させていただきました。


獅子窟寺・薬師如来坐像は、さすがに「国宝」です。

交野市・獅子窟寺~薬師如来坐像(国宝・平安前期)
交野市・獅子窟寺~薬師如来坐像(国宝・平安前期)

何度拝しても、見惚れてしまいます。
この日の観仏では、圧倒的に群を抜いて素晴らしく、多言を要しません。


この10月中旬の関西行にあわせて、展覧会を二つ観てきました。

京都・龍谷ミュージアムで開催の「二楽荘と大谷探検隊展」と、大津市歴史博物館で開催の「三井寺・仏像の美展」です。

二楽荘と大谷探検隊展ポスター
「二楽荘と大谷探検隊展」は、浄土真宗本願寺派の22代宗主・大谷光瑞が組織した、大谷探検隊の有様と、探検隊の収集品が保管されていた「二楽荘」について振り返る展覧会でした。

「二楽荘」は、大谷光瑞が六甲山麓に別邸として建設した豪勢な奇想建築ともいうものです。
仏像の出展はありませんでしたが、「大谷探検隊」や「二楽荘と阪神モダニズム」を回顧する、大変興味津々の展覧会でした。
図録(2300円)の内容の充実ぶりは群を抜いたもので、所載されている解説論考の密度の濃さには驚きました。
図録というより大著という内容で、関心ある方は必携です。


三井寺・仏像の美展ポスター
「三井寺・仏像の美展展」は、三井寺園城寺「宗祖・智証大師生誕1200年慶讃大法会」の開催に合わせて開催されたものです。

この期間、三井寺内で開扉される5躯の秘仏以外の、殆どの三井寺の仏像が出展されました。
2008年にサントリー美術館で開催された「国宝三井寺展」で展示された仏像とほぼ同じ仏像の展示で、目新しいものはなかったのですが、三井寺の仏像を一堂に会して観ることが出来るよい機会となりました。

時間もなかったし疲れ気味で、三井寺山内での黄不動等の秘仏ご開帳は、見送りにして、帰京しました。



【11月】

11月は、興味深い仏像展覧会が目白押しで、また観仏に最高の季節ということで、随分沢山の展覧会、観仏探訪に出かけてしまいました。
仏像三昧、フル稼働という感じになりました。

順を追ってご紹介します。

まずは、小田原市・勝福寺の秘仏・十一面観音像が33年に一度の特別開帳ということで、出かけてみました。
ついでに訪ねたお寺も含め、次の仏像を拝しました。

小田原方面観仏先

勝福寺は坂東三十三観音霊場5番札所、秘仏拝観の人々でなかなかの賑わい。
拝観の列にしばらく並んで、やっと拝することが叶いましたが、ゆっくり拝するというわけには行きませんでした。
鑿痕の残る荒々しさも伺えましたが、藤原風の空気感も感じる一木彫像でした。


久しぶりに訪ねた、王福寺の薬師如来像は、やはり関東の平安木彫のなかでの優作といってよいものでした。

像高131㎝もある堂々とした大型像で、10世紀頃の制作と云われています。
関東の平安古仏のなかでは、私の大変お気に入りの仏像です。
もっと、もっと知られても良い、関東を代表する仏像だと思いました。

小田原市・勝福寺~十一面観音像(県指定・平安)..中郡・王福寺~薬師如来像(重文・平安)
小田原市・勝福寺~十一面観音像(県指定・平安)    中郡・王福寺~薬師如来像(重文・平安)


11月中旬には、奈良・柳生の円成寺、法隆寺を訪ねました。

カルチャーセンターで団体での観仏探訪でしたが、法隆寺では普段拝観できない、西円堂、上御堂、西円堂の諸仏を拝することが出来ました。

円成寺・法隆寺観仏先

柳生の円成寺は、もう何回訪れたのか数えきれないくらいです。

奈良市・円成寺~運慶作大日如来坐像(国宝)
奈良市・円成寺~運慶作大日如来坐像(国宝)
運慶作の大日如来像は、都度都度、何度も拝するにつれて、
「運慶作の仏像なのだ!!」
ということが、だんだんと判ってきたような気がします。

この大日如来像、最初のうちは、私には、「運慶の仏像らしさ」というのを、あまり強く感じられなかったのです。

藤末鎌初の仏像の一つのパターンというのか、鎌倉の新様風をみせながらも、まだまだ藤原仏の世界から抜き出し切れていない造形の仏像のように感じられたのです。
運慶と云えども、まだ若き青年のころには、このような伝統的藤原様の世界の枠のなかから出きれない仏像をつくっていたのかな、というのが率直な印象でした。

何度も拝するうちに、
「流石に運慶の仏像!」
というように感じることが出来るようになってきました。

仏像を観る眼が甘かったのかもしれませんが、最近のことです。

そう感じるようになった訳を、挙げるといろいろな点が沢山あるのですが、一番に運慶の造形力、新鮮なインパクトを強く感じたのは、足の裏・指の造形でした。

結跏趺坐に組んだ足裏が、弾力に満ち、張りのある活き活きとした写実表現なのに、気がついたのです。
かかとから土踏まず、足指へと至る抑揚に富んだ表現、その微妙な凹凸はリアルの域を超えて、身体(足裏)の理想表現とも云えるもののように思えます。

円成寺・大日如来坐像~足裏部
円成寺・大日如来坐像~足裏部

ビックリしました。
そして
「この足の裏は、運慶でないとできる表現ではない!」
と強く感じました。

円成寺・大日如来坐像~足裏部
円成寺・大日如来足裏部のリアルな抑揚表現
2007年に、山崎隆之氏著の「仏像の秘密を読む」という本が出版されました。
その文中に
「足裏に運慶を見た」
と題する項があり、円成寺・大日如来の足裏表現が採り上げられていたのです。

文中、足裏表現にふれ、
「これを運慶は見せたかったのだと気付かされた」
と書かれているではありませんか!!
「わが意を得たり」
というのは、このような時のことを云うのかもしれません。

(この話、決して後付けではなくて、私が感じていたことと同じことがこの本に書かれていて、驚いたのです。~本当ですよ~)


余計な話が長くなってしまいました。

法隆寺では、普段は拝観できない、西円堂・脱活乾漆・薬師坐像、上御堂・釈迦三尊像、伝法堂の三対の阿弥陀三尊ほかの諸像を拝することが出来たほか、ちょうど夢殿の特別開扉期間で、救世観音像も拝することが出来ました。



団体旅行解散後の翌日、紅葉真っ盛りの京都を、一人で愉しみました。

京都国立博物館・本館の新築が完成し、「平成知新館」として、2014年9月オープンしました。
「平成知新館」グランドオープンを記念して開催されている、「京(みやこ)へのいざない展」を観てきました。

京へのいざない展ポスター

西住寺・宝誌和尚像(平安・重文)、光明寺・千手観音立像(奈良~平安・重文)などの、京博おなじみの仏像のほか、大阪・天野山金剛寺の本尊、巨大な大日如来坐像と脇侍の不動明王坐像などが出展されていました。

新築前の本館と違い、ゆったり広々としたスペースに、仏像の持つ魅力を引き出す効果的ライティングのなか展示され、嬉しい気分になりました。


あとは、西陣界隈の仏像を拝してきました。

京都・西陣方面観仏先

お気に入りの雨宝院・千手観音像は、5月に拝したところでしたが、またまたふらふらと会いに出かけてしまいました。
やっぱり、好きな仏像です。


石像寺の阿弥陀三尊石像を初めて訪ねました。

鎌倉前期の都風を示す石仏の代表作で、元仁元年(1224)の制作です。
凝灰岩ではなく、花崗岩で丸彫りに彫りあげた大型石像(像高約1m)で、
鎌倉時代になって本格化する、花崗岩石彫像の優作です。

体や心の痛みを治してくれる「釘抜地蔵」として、今も多くの人々の信仰を集めているようです。

京都市・石像寺~くぎ抜き地蔵..京都市・石像寺~阿弥陀如来坐像石仏(重文・鎌倉)
京都市・石像寺~くぎ抜き地蔵      阿弥陀如来坐像石仏(重文・鎌倉)

観仏の後は、京の美しい紅葉を満喫してみようと、大徳寺・高桐院へ足を伸ばしました。
紅葉真っ盛りで、人も沢山いましたが、なんといっても京の紅葉は美しく、心なごみます。

京都市・大徳寺~高桐院庭園
紅葉の美しい大徳寺~高桐院庭園


11月下旬は、二つの仏像展覧会に出かけました。

一つは、サントリー美術館で開催の「高野山の名宝展」です。

高野山の名宝展ポスター(写真は運慶作・制多伽童子像)
展覧会ポスター仏像写真は、運慶作・制多伽童子像

運慶作とみられる八大童子像(国宝)全躯のほか、快慶作の孔雀明王坐像(重文)・執金剛神立像(重文)・四天王像(重文)など高野山の仏像が勢揃いしました。

「運慶の童子像は、本当に上手い。」

やはりそう思いました。


もう一つは、多摩美術大学美術館で開催された「祈りの道へ~四国遍路と土佐のほとけ展」です。

祈りの道へ~四国遍路と土佐のほとけ展ポスター
ポスターの仏像写真は湛慶工房作と
みられる笹野大日堂・大日如来坐像
この展覧会、平成18年(2006)に、高知県地域文化遺産共同調査・活用事業プロジェクトにより文化財調査にたずさわった、青木淳氏(現多摩美術大学美術学部准教授)の尽力により実現した展覧会とのことです。

5月に高知観仏探訪に出かけた処でしたが、訪れた諸寺の仏像をはじめ、知られざる古仏が数多く出展されています。
初日に出かけて、青木氏による会場での展示仏像の説明、講演会、オープニングパーティに参加してきましたが、大変興味深い展示仏像で、必見の展覧会だと思います。

1月18日(日)まで開催していますので、是非ご覧になってください。

〈その1〉の5月の高知探訪の処でご紹介した、湛慶工房の作とみられる笹野大日堂・大日如来坐像も出展されていました。
高知須崎の田舎で拝した大日像に、東京でもう一度出会うことが出来るなどとは思ってもいなかっただけに、大変うれしい再会でした。



11月末には、長駆、九州まで出かけました。
今年のフィナーレの観仏探訪となりました。
同好の方々と、九州・福岡の仏像の展覧会と国東方面の仏像探訪、2泊3日のスケジュールです。

初日は、今回の九州行きの最大の目的の「九州仏~1300年の祈りとかたち展」です。
福岡市博物館で開催されました。

九州仏~1300年の祈りとかたち展ポスター
この展覧会、九州の古仏像、約100体が出展される大展覧会で、九州の仏像が一堂に集う、約半世紀ぶりの展覧会ということです。
これを見逃してはならじと、九州まで出かけた訳です。

流石に、キャッチフレーズ通りの九州仏大集合のすごい展覧会で、わざわざ出かけただけのことはありました。
出展仏像をご紹介したくとも、多すぎて叶いません。

これらの大仏像群の中で、際立って光っていたのは、浮嶽神社の如来立像・菩薩立像長谷寺の十一面観音立像>でした。
他の仏像達を圧しての、圧倒的な迫力とパワーでした。

福岡県・浮嶽神社~如来立像(重文・平安前期)
福岡県・浮嶽神社~如来立像(重文・平安前期)

福岡県・長谷寺~十一面観音立像(重文・平安前期)
福岡県・長谷寺~十一面観音立像(重文・平安前期)

展示されていた平安古仏の制作年代設定が、従来の私の常識というか感覚からすると、1~1.5世紀ぐらい古く設定されている仏像が多くあり、少々戸惑いを覚えました。
展示プレートを見ると8世紀とか9世紀制作という仏像が、続々とありました。

最近は、奈良~平安時代の木彫仏の制作年代の見方、考え方は随分多様になってきているように思います。
これまでの既成概念を取り払った方がよいのか、そういったものでもないのか、ちょっと迷ってしまう処です。


もう一つの九州の仏像の展覧会「福岡の神仏の世界展」へも行きました。
福岡県小郡市の九州歴史資料館で開催されていました。

福岡の神仏の世界展ポスター(右下の写真は個人蔵・男神立像(平安時代)
ポスター右下の像は個人蔵・男神立像(平安時代)

「九州仏展」に連携して、福岡県の古仏を集めた展覧会です。
こちらにも平安古仏が多数展示されていましたが、個人蔵の男神立像(平安時代)が大変興味深い古像でした。


ついでに大宰府の方へ寄り、観世音寺と九州国立博物館を観てきました。

福岡観仏先 

九州国立博物館蔵・観音菩薩立像(重文・平安前期)
九州国立博物館蔵
観音菩薩立像(重文・平安前期)
九州国立博物館蔵の観音菩薩立像は、一度見てみたいと思っていた平安古仏ですが、眼近に観ることが出来ました。

この観音像は、京都市上京区・清和院伝来で、かつて鴨川西岸の感応寺に祀られていました。
感応寺は、貞観年中(859~877)建立と伝えられ、建立当時の制作とみられている古像です。

流石にノミの冴えを感じる見事な9世紀一木彫像で、九博にわざわざ寄っただけのことはある見ごたえある仏像でした。


その後は、大分までロングドライブ、大分市内の評判の良い居酒屋で、グイグイと飲りました。
新鮮な魚が大変美味で、定番の関アジ、関サバだけではなく、イカ、タイなどのお造りが絶品。
ついつい調子に乗って、飲みすぎてしまいました。



2日目、3日目は、国東、宇佐方面を巡りました。

国東・宇佐方面観仏先

ご覧のとおり、12ヶ寺にも及ぶ寺々に加えて、大分県立歴史博物館にも行き、まさに精力的な古仏探訪でした。
前日、福岡の博物館を3館も観て、腹一杯満腹になるほど仏像を観た後で、これだけの観仏に廻ったわけですから、食べ過ぎも良いところといった食傷状態になってしまいました。

こうして、探訪仏像をリストアップしてみても、
「どの仏像がどんなだったかも良く覚えていない」
という混乱状態といったところです。

やはり観仏も腹八分か6分目ぐらいに留めておかないと、何をしに行ったのかわからないという有様になってしまうということなのでしょう。

とはいうものの、国東方面は、学生時代に訪れて以来の、45年ぶりの探訪となります。
昔、バスと徒歩だけで苦労して何日かかけて訪ねた仏像達を、1日であっという間に総ナメというスピード探訪となりましたが、大変懐かしく思い出深いものとなりました。

宇佐の大楽寺、大善寺の仏像、平等院講中の釈迦如来像、内野区の聖観音像などは、大変印象深く拝しましたが、そのあたりの話は、またあらためて「観仏日々帖」でご紹介できればと考えています。

大分県宇佐市・大楽寺~伝弥勒仏像(重文・平安後期)..大分県宇佐市・大善寺~薬師如来坐像(重文・鎌倉)
宇佐市・大楽寺~伝弥勒仏像(重文・平安後期)    大善寺~薬師如来坐像(重文・鎌倉)

大分県国東市・平等院講中~釈迦如来坐像(県指定・平安後期)..大分県豊後高田市・内野区~聖観音立像(県指定・平安中期)
国東市・平等院講中~釈迦如来坐像    豊後高田市・内野区~聖観音立像

院内町・龍岩寺の奥院礼堂の三尊仏も、45年ぶりの再会でした。

急坂を上った先の山腹の石窟に造られた礼堂に、石仏かと紛うような巨像の三尊仏が静かに祀られている幽玄神秘な光景を目にすると、心撃たれる大きな感動に包まれずにはおられませんでした。

大分県院内町・龍岩寺奥院礼堂

大分県院内町・龍岩寺奥院礼堂三尊仏(重文・平安後期)
石窟に築かれた院内町・龍岩寺奥院礼堂と三尊仏(重文・平安)


仏像三昧も度過ぎて、超満腹になってしまった九州観仏旅行も、これでおしまい。

最後の口直しに、趣向を変えて、小石原焼のやきもので有名な東峰村に寄りました。
小石原焼は、「飛び鉋模様」の生活雑器で知られていますが、何十件もの窯元が道の両側に並んで、大変賑やかな町になっていました。

小石原に来たら、一度行ってみたいと思っていた、陶芸作家・福島善三氏の「ちがいわ窯」に立ち寄って、中野月白磁の汲出し茶碗を買いました。
美しい青白磁の汲出し茶碗が手に入って、大満足!!

ウキウキ気分で、九州を後に帰路につきました。

小石原焼・ちがいわ窯

福島善三作・中野月白磁~汲出し茶碗
訪れた小石原焼・ちがいわ窯と、そこで買った福島善三作の中野月白磁汲出し茶碗


12月は、11月の観仏フル稼働の後遺症で、仏像はお休み。
しばらく仏像から離れて、他の事に眼をやるようにし、やっと仏像満腹状態から、回復しつつあります。



以上で、2014年の仏像探訪総まくりは、おしまいです。


飽きもせず、懲りもせず、よく観仏にまわったものだと振り返っていますが、「観仏日々帖」ご覧いただいている皆さんには、

「なんだ、この程度か!私の方がもっともっとたくさん観仏にまわっているよ!」

という方が、沢山いらっしゃるのかもしれません。

私には、
「観仏に振り向けることが出来る体力は、このあたりが限界かな?」
という処です。

2回にわたって「今年の観仏を振り返って」というテーマで綴らせていただきました。
只々個人的な観仏探訪記録を、ダラダラと書き綴っただけに関わらず、辛抱してお付き合いいただき、有難うございました。

2014年もあと数日という処まで押し詰まりました。

来年も、HP「神奈川仏教文化研究所」、ブログ「観仏日々帖」に、気ままな仏像記事を連ねていきたいと思っております。
よろしくお付き合いいただけますよう、お願いいたします。


皆様、良き年を迎えられますよう!!


コメント

有名所からあまり知られていないところまで、精力的に見て回っておられるようですね。
特に、四国・九州あたりは過密スケジュールで計画しただけでも大変だったと思います。

私は雨引観音が良かったです。
以前ここで紹介があった通り、正面から見るとあまり立体的な感じがなく、素朴な感じでしたが、いかにも地方仏らしい感じが印象的でした。
交通の便が悪いところで、苦労して訪ねたことも印象を強くします。

展覧会では大阪市立美術館の「山の神仏展」が、珍しい像が展示されていて面白かったです。

今年は、「祈りの道へ~四国遍路と土佐のほとけ展」でと「みちのくの仏像展」からスタートします。
北と南の地方仏が一度に拝めて、嬉しい限りです。

  • 2015/01/17(土) 08:39:04 |
  • URL |
  • とら #VBkRmpN2
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

とら 様

ご覧いただきありがとうございます
個人的な観仏記録を綴っただけというもので、コメントまでいただき恐縮です

雨引き観音は、なかなか興味深い仏像で、印象深く覚えております
「みちのくの仏像展」なかなかの人気のようです。
結構、眼近に見ることができるようですね

今年もよろしくお願いします

管理人

  • 2015/01/17(土) 19:00:25 |
  • URL |
  • 神奈川仏教文化研究所 #-
  • [ 編集 ]

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