観仏日々帖

新刊・旧刊案内~愛知県史 別編 「文化財3 彫刻」が刊行されました


愛知県の仏像の、大変充実した解説本が発刊されましたので、お知らせします。


愛知県史 別編 「文化財3 彫刻」

愛知県史編纂委員会編 2013年3月刊 頒価6500円


県史や市史といった刊行物の中で、地域の仏像を網羅して紹介したものが刊行されるのは、特に珍しいことでもありませんので、紹介するのは止めようかなと思ったのですが、あえてご紹介することにしました。


第一の事由は、

県史といったシリーズの中で、これほどに仏像彫刻だけを採り上げて、大部のものにまとめ上げられたものは、めったにみられないからです。
普通は、県史や市史の文化財編とか美術工芸品編にまとめられていて、建築、絵画、工芸などと一緒に紹介されているものが多いと思います。

ところがこの本は、A4版、751ページという大冊・厚冊で、すべて仏像彫刻という内容です。
愛知県史は本冊:35巻、別編:9巻が現在刊行されていて、まだ続刊の予定のようです。
大変な県史刊行事業となっているようで、だからこそ「彫刻」だけで大冊が編まれたのでしょう。
厚みと大きさだけで議論するのもおかしな話ですが、これだけの分厚くて大型の仏像本が、6500円というのはお買い得だと思い、思いきって購入しました。
どう見ても2~3万円してもおかしくない立派な本です。



第二の事由は、

「愛知県の仏像」をこれだけ悉皆網羅的に紹介・解説した本が、私の知る限りではほかにはなくて、そういう意味では、大変貴重な出版かなと思ったからです。
愛知県の仏像は、それほど注目されるものが少ないのかもしれません。
他の県や地域では、結構「○○県の仏像」といった出版物や、大型展覧会図録などが刊行されていて、それによって主だった仏像の写真と解説を見ることができるのですが、
愛知県はこれまでこうした出版物が、余りなかったようです。


私の知る限りでは、次のようなものが過去出版されていますが、小冊子か小型本といったものばかりでした。

「尾張の古仏」後藤利光著 1949年刊 私家本 【78P】

「東海の仏像・北部編」佐々木隆美著 1958年 名古屋鉄道刊 【103P】 100円
「東海の仏像・南部編」佐々木隆美著 1961年 名古屋鉄道刊 【117P】 130円

写真集「ふるさとの仏たち~東三河」(正・続)963・64年 東三文化会刊 【125・150P】 430円・480円


これぐらいかなと思います。

やっと、
「愛知県の仏像の全貌を知ることができる、大変充実した本が出版されたな」
と思いました。


さて、この本の内容を簡単にご紹介します。

目次はご覧のとおりです。

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作品の個別解説に加えて、1~2章で約190ページにわたって、愛知の仏像についての各論論考が掲載されています。
買ったばかりでまだ読んでませんが、なかなか興味深く充実した内容の様子です。
執筆陣はご覧のとおりで、著名な研究者が名をつられています。

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仏像は、地域別に約350件が採り上げられています。
国指定・県指定:約130件、市町指定:約110件、未指定の優れた作品:約110件で構成されています。
きちっと充実した解説で、それぞれの仏像解説ごとに参考文献・参考論考が掲載されています。

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愛知県の仏像といえば、どのような仏像が思い浮かぶでしょうか?

もっとも有名なものは、運慶作品とされる滝山寺の観音像、梵天帝釈天像でしょう。
あとは、仁安2年(1167)頃の作といわれる、七つ寺の観音勢至菩薩坐像でしょうか。

滝山寺 観音像・梵天帝釈天像...7ツ寺 観音坐像
滝山寺 観音像・梵天帝釈天像            7つ寺 観音坐像

私の注目像は、北名古屋市・高田寺の薬師如来坐像、小牧市・賢林寺の十一面観音坐像です。
共に平安前期といわれる興味深い仏像ですが、どちらも厳重秘仏で、私は拝したことがありません。

高田寺 薬師如来坐像...賢林寺 観音坐像
高田寺 薬師如来坐像               賢林寺 十一面観音坐像


これらの仏像の「愛知県史・彫刻」掲載写真を、紹介させていただきました。

他にも挙げていくときりがありませんので、このぐらいにしておきます。


この種の本は、図書館で必要な時に閲覧するので充分な本かなと思うですが、
ご関心がおありの方は、愛知県HP愛知県史紹介をご覧ください。
詳しい内容紹介、購入方法などが掲載されています。

「お買得の、充実した愛知県仏像解説本でお薦め」
と思いましたので、ご紹介しました。

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