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観仏日々帖

新刊旧刊案内~「伊豆の仏像修復記」 牧野隆夫著  【2018.5.19】 


【伊豆新聞連載の「伊豆の仏像修復記」が単行本化】


伊豆新聞に連載されていた、牧野隆夫氏の仏像修復の日々や思い出を綴った「伊豆の仏像修復記」が、単行本になって発刊されました。


「伊豆の仏像修復記~人々と自然に護られた仏と関わる日々」 牧野隆夫著

2018年4月 静岡学術出版事業部刊 【185P】 1300円


牧野隆夫著「伊豆の仏像修復記」


この本は、吉備文化財修復所代表・牧野隆夫氏が、伊豆新聞・日曜文化欄に、「伊豆の仏像修復記」と題する連載を、2015年6月から2016年7月まで、毎週55回にわたって一年余掲載したものが、単行本となって発刊されたものです。

著者の牧野隆夫氏は、東京芸術大学大学院美術研究科保存修復の出身で、吉備文化財修復所を開設するほか、東京学芸大学非常勤講師、東北古典彫刻修復研究所代表などを務める仁です。
これまで、伊豆の諸仏像をはじめ、全国各地の数百体の仏像修理を手掛けられています。

2016年に刊行された 「仏像再興~仏像修復をめぐる日々」 (山と渓谷社刊 1800円)に次いでの単行本出版です。

牧野隆夫著「仏像復興」
牧野隆夫著「仏像復興~仏像修復をめぐる日々」

「仏像再興~仏像修復をめぐる日々」という本については、観仏日々帖・新刊旧刊案内 で、以前にご紹介しましたが、
本書は、その続編・伊豆半島シリーズといってもよいような内容になっています。



【長年、伊豆半島の仏像修復に携わった日々が綴られる】


「伊豆の仏像修復記」の表紙の内容紹介には、

「筆者は日本全国の仏像修理や調査、人材育成に関わってきた。
その中でも伊豆は筆者にとって活動の原点である。
本書には、学生時代、伊豆韮山国清寺の仁王像に出会って以来、仏像修復を一生の仕事とし現在に至るまでの、伊豆地方仏像修復とそれを通じた人との関わり、新たな発見書きされている。」

と、書かれています。

目次は、ご覧のとおりとなっています。

「伊豆の仏像修復記」目次01

「伊豆の仏像修復記」目次02

「伊豆の仏像修復記」目次03



【語られる、仏像修復を通じての、人々との出会い、苦労話、新発見のドキュメント】


この本は、仏像の修理修復の技術解説とか、仏教美術史的な記述に重点が置かれた本では、全くありません。
副題の
「人々と自然に護られた仏と関わる日々」
というフレーズにみられるとおり、それぞれの土地で、人々に護られてきた古い仏像の修復という仕事を通じての、地域の人々との出会いやふれあい、苦労話などが中心につづられた、「仏像修復奮闘記&人間ドキュメント」とでもいった内容です。

「伊豆の仏像修復記」内容
「伊豆の仏像修復記」~修善寺指月殿・釈迦像修理が語られたページ

牧野氏は自らを「仏像の町医者」と称し、
「国宝・重文レベルにはならないような、地域に護られ地域と共にある古仏」
の修理修復にあたっている仁です。
その中で語られる話には、「地域の人々に護られ共に生きる仏像」の祀られ方、文化財としての保存のあり方を考えさせられるものがあります。


そうした「仏像の町医者」として修復に取り組む日々の中で、

「修善寺・大日如来像胎内からの、実慶銘と遺髪等納入物の発見」
「桑原薬師堂・阿弥陀三尊像の像内からの、実慶作墨書銘の発見」

といった大発見物語に至った話も、活き活きと綴られています。
両像共に、この新発見の後に、国の重要文化財に指定されています。
(修善寺大日如来像:2001年重文指定、桑原薬師堂・阿弥陀三尊像:2006年重文指定)



【出版不況のなか、クラウドファンディング・資金募集で、実現した単行本化】


実は、この新聞連載は、【伊豆新聞のWEBページ】でも公開掲載されていました。

私は全55回を、WEBで読みましたし、全部のデータも保存済みでしたので、今度の単行本新刊のことは知っていましたが、購入するつもりは、ありませんでした。

ところが、この単行本が、クラウドファンディングでの資金募集といった苦労を経て、やっと刊行されたということを、NETで知りました。

「静岡県伊豆地方の仏像修復についてのドキュメンタリーを書籍にしたい!」

こんな表題の資金募集HPを見つけたのです。
そこには、協力者を募り、何とか出版にこぎつけたいとの想いが、語られていました。

昨今、出版業界が極めて厳しい状況にある中、新聞連載記事を単行本化するというのも、なかなか困難なことのようです。
そうした状況下で、ようやく出版が実現したということなのでしょう。


そんな経緯を知ると、せめて1冊ぐらいは購入せねばと、私も「AMAZON」に注文を出したという訳です。

皆様にも、本書のことを知っていただければと、新刊発刊のご紹介をさせていただきました。


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